豪ドル/円相場は、総じて85円台後半を中心に揉み合う展開になっている。主要通貨に対する急激な円安傾向にブレーキが掛かる中、対豪ドル市場でも円安圧力は一服した。12月4日のオーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)理事会では追加利下げが決定されたが、豪ドル相場に対する影響は限定されている。
RBAは、政策金利を0.25%引き下げ、約50年ぶりの低水準となる3.00%とすることを決定した。スティーブンス総裁は生命で、輸出価格下落と世界経済の見通し鈍化にもかかわらず、豪ドルが「期待していたより高い水準」に留まっている影響を指摘している。豪民間投資計画が縮小する一方、失業率は2年半ぶりの高水準に達していることで、追加金融緩和によって資源業のみならず、製造業や観光業なども含めた経済全体の下支えを行う意向と見られる。もっとも、こうした利下げの動きは事前に広く予測されていたため、マーケットに対する影響は限定されよう。利下げが行われたとは言え、主要国がゼロ金利ないしはそれに近い低金利政策を採用する中、豪ドルは依然として先進国で最も高金利の通貨であることに変化がないことも確認しておきたい。
また、ここにきて中国経済に対する過度の悲観的な見方が後退していることも、豪ドルをサポートしよう。中国国家統計局が12月1日に発表した11月製造業購買担当者指数(PMI)は、前月の50.2から50.6まで上昇し、7ヶ月ぶりの高水準に達している。米国の「財政の崖」を巡る議論の進展状況が警戒されるが、リスクが顕在化して資産価格全体に急落圧力が強まるような展開が回避されれば、豪ドルの下値不安は限定的とみている。
今後1週間の予想レンジは、84.75~86.75円。